初めて訪れた外国は香港でした。
九龍の安宿に行くと、ベッドがいっぱいなのでリビングのソファに寝てください、安くしますからと宿主に言われました。
怪しげな(そう見えた)バックパッカーたちがウロウロする横で、恐る恐る過ごした最初の一夜は、何十年経っても忘れられません。
『満腔、香港』の著者は、1970年に香港に留学します。
その時下宿していた家の描写が、重慶大厦の宿を彷彿とさせます。
あんなところに住んでいたのか。
たくましい。
『満腔、香港』
樋泉克夫・著 エイチ アンド アイ
装丁を担当しました。